AliceSoft
アリスソフトは大阪市北区天満に本社を置く、株式会社チャンピオンソフトのアダルトゲームブランドである。アダルトゲームメーカーとしては珍しく自社ビルを所有している。ビル名は「ハニービル」というが、これは登記上の正式名称である。
アダルトゲームの創生期から存在し現存している数少ない会社で、1980年代はパソコンショップ高知とともに業界を盛り上げた。1990年代には『東のエルフ、西のアリス』と謳われた程に、アダルトゲーム業界およびその流通分野の中でも特別視された存在であり、その後のブランド乱立と消長盛衰の著しいこの業界の現状下にあっても業界のフロンティアとしてなお一際強い別格の存在感を保ち続けている。ハードディスクへの本格的な対応、PC-9801からWindowsOSへの本格的な切り換え、低価格路線など、アリスソフトがアダルトゲーム業界における事実上の先駆者となり、その後業界が追随したものも少なくない。
設立時は『チャンピオンソフト』名義でゲームをだしていたが、昭和から平成に時代が変わるのを機に『アリスソフト』ブランドを発足、現在は『チャンピオンソフト』名義ではゲームソフトは発売していない。
姉妹ブランドとして女性向けボーイズラブゲームブランドAlice Blueを立ち上げたが、現在は休止中。
沿革
- 1983年1月 チャンピオンソフト設立。設立当初は奈良県橿原市に所在
- 1989年4月 アリスブランド発足
- 1989年7月 『Rance』・『Intruder』でデビュー
- 1990年10月 ユーザークラブ発足
- 2003年4月15日 「配布フリー宣言」発表
- 2006年春 東京事務所スタート
特徴
システム面
独自の言語により定義されたシナリオを変換して中間言語として処理を実行するシステムによる開発を基本としている点が特徴である。
設立当時の一般的な開発手法はシナリオに対する動作をプログラムとして記述することであった中、アリスソフトはアドベンチャーゲームだけでなくRPGその他のジャンルにおいても、その中間言語のシステムを用いて開発をおこなっていた。このシステムはユーザに対しても公開されてており、ユーザ自身でも新たにゲームの開発が行える可能性を与えている((ただし無保証・無サポートである)。
なお、以前System3.x系の開発キットが一般に公開されていたことがあるが、現在は3.x系についての開発キットは公開が終了しており、ユーザークラブ会員向けにSystem4.x系の開発キットが公開されている。
メーカーカラー
- 恋愛アドベンチャーゲームが多くを占めるアダルトゲーム業界にあって、アリスソフトのゲームは育成RPG、国盗り(地域制圧)シミュレーションなど多種多様なジャンルのゲームを製作しており、アダルトシーンを除いた純粋なゲームとしての面白さにも定評がある。また製作者本人がゲームに登場することがあるのも特徴的である。
- 基本的なスタンスは、一作毎に世界設定を変えてくる。というものの、看板ソフトランスシリーズのルドラサウム大陸の世界設定を舞台にするゲームも少なくない。
- 会社の方針として「長期的な展望を考えた、無理のない確実な経営」と「アダルトゲームであるという事を大事に考え、またそれを作る事に誇りを持つ」を掲げており、短期的な利益を求めて流行を追うのではなく、「エロさ」、「ゲーム性」、「シナリオ」等のエロゲー要素にて複数の面から評価されるゲーム作りを信条としている。
- 上記の方針故に、『Kanon』に始まったいわゆる泣きゲーと呼ばれるエロさ・ゲーム性よりシナリオを重視する(シナリオ頼み的な)ゲームを是とする業界の流れには懐疑的で、2002年3月15日に2800円という低価格ソフト『妻みぐい』を発表して一石を投じた(このゲームはヒロインは2人だけながら多彩なHシーンとマルチエンディングを備えており、同時期の通常価格のアダルトゲームに引けを取らないクオリティを備えていた)。
- 長期的な展望から、新品を購入してくれるユーザーとの信頼関係を重視しており、低価格シリーズや廉価版への展開を積極的に行なったり、後で述べる「フリー宣言」や、新作(『よくばりサボテン』)の販売促進として販売終了作品(『しまいま。』)の無償ダウンロードといった思い切ったサービスの展開も行なっている。また、ゲームソフト業界にありがちな「おまけを入れ替えた数種類のパッケージによる販売」や、「シナリオ追加による別バージョンの販売」といった行動も「ユーザーへの背信行為」として嫌っており、配布メディアがフロッピーディスクであった時代には、ユーザーを信じる意味でコピープロテクトを施さないメーカーとしても有名であった。2001年頃、幾つかのタイトルでコピープロテクトを施したがカジュアルコピーが蔓延していた時期でもあり、ユーザ側のモラルの低下を責めるべきものといえる(方針を転換したとしてアリスソフトを激しく糾弾したユーザも居た)。
- アリスソフトのゲームは、「アダルトゲーム(中略)に誇りを持つ」の方針からアダルトシーン無しではシナリオが成立しないゲームが多い。その為、コンシューマへの移植はほとんど行われていない(数少ない移植例として、『Only You~リ・クルス~』が『Only You~リベルクルス~』の名で移植された。また『闘神都市』も『闘神都市υ(ユプシロン)』として前作のリメイク(前半)+新規追加(後半)で移植をされる計画が進んでいたが、前半の80%が進んだ時点で頓挫。その設定はランスIVと闘神都市IIに引き継がれることになる。)。また作品のアニメ化も同様に15禁または18禁のアダルトアニメという形のみ行われ、UHFアニメ等の一般アニメになった作品は未だ存在していない。
- キャラクターデザインや原画担当のスタッフの一部は個人的に同人活動をしているが、彼らの同人誌はアクアプラス所属のスタッフ同様、とらのあな等の業者へ卸される事はない。
- アダルトゲームを小説化する際には、原作のシーンを継ぎ接ぎしたような安易なノベライズが多く行われるが、アリスソフトではこれを厳しく禁じており、ノベライズを担当する作家の力量が問われる。
- アダルトゲーム業界は原画やシナリオなどでクリエイターに依存する割合が大きく、クリエイターの退職や、外注の場合には契約条件の高騰などの為に人気作品の続編などの製作が困難になるケースが古くから見られてきた。しかし、アリスソフトはメインのイラストレーターやシナリオライターが社内に在籍したままでも、続編製作に際して交替を実施するケースが『ランス』シリーズなどでは見られている。また、これまでの作品数の割に、シナリオや原画の担当として関わった外注スタッフが少ないのも大きな特徴の一つである。
- 太平洋戦争当時の日本の軍艦や軍用機、あるいは架空の侵略者"コメ国"など、いわゆる保守的な傾向を持つイラストや設定が見受けられる場合があるが、ファンの間では概ね笑いを誘うためのギャグの領域であると受け止められている。
配布フリー宣言
配布フリー宣言とは、開発費を回収しきった古い作品(主にPC-98時代の作品)を、配布自由としたものである。インターネット上にアップロードしたり、ファイル共有ソフトなどでの不特定多数の人への配布も認めている。 最新OSへの対応、エミュレータ形式への変換は認められているが、それ以外の改造は禁止となっている。 サポートには応じないが、著作権は放棄していない。詳しくは、以下の外部リンクを参考のこと。
フリー宣言(アリスソフトホームページ内)
作品リスト
リスト中の*印は、配布フリー宣言の対象ソフト
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主なスタッフ
外注として参加した者や過去に在籍したスタッフを含む。
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関連項目
外部リンク
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