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聖杯、聖杯戦争

手にする者の望みを実現させる力を持った存在。この作品から離れた本来の意味での聖杯、すなわちキリストが最後の晩餐の際に使ったとされる聖遺物の杯とは全く別の物である。「万能の釜」また「願望機」とも呼ばれ、それを手に入れるための争いを聖杯戦争という。
冬木の聖杯は聖堂教会に観測された第七百二十六個目の聖杯候補であり、表向きは真贋の判断が付いていないことになっている。この地の聖杯戦争は、聖杯によって選ばれた七人のマスター(後述)がサーヴァント(後述)と呼ばれる聖杯戦争のための使い魔を使役して戦いあうといった、ほかの聖杯戦争にはない独特な形をとる。
実はこの聖杯は贋作であり、この地で行われる、聖杯戦争を模した儀式の真の目的とは、失われた第三魔法[1]魂の物質化『天の杯(ヘブンズフィール)』を再現することである。一連の儀式は200年前、アインツベルンと遠坂、マキリの三家がそれぞれの思惑から協力して始まった。この儀式では、敗北して「無色の力」に戻ったサーヴァントをすべて「器」に注いでしまえばそれでよい。器として用いられるのは魔術回路[2]を持つ存在であり、そこに降霊させることで聖杯を完成させる(これは、後述する大聖杯に対し小聖杯と呼ばれることもある)。なお、勝者は儀式の完成によってもたらされる膨大な魔力を用いてどんな願いも叶えられるようになるため、実質的には真作の聖杯を手にしたのと変わらない。そのため、贋作と分かっていてなお、魔術協会が主催を務め、聖堂教会が監督役を派遣してことを見守っている。本来ならマスター同士が殺し合うことなど儀式の成功に必要なく、勝者の持つこの権利を独占するために争っているにすぎない。
冬木市における前回の聖杯戦争(第四次聖杯戦争)は10年前に行われた。聖杯戦争の実施にあたっては、柳洞寺のある円蔵山地下に隠された大聖杯と呼ばれる巨大な魔法陣により、冬木の土地の霊脈が枯渇しない程度に少しずつ魔力を吸い上げて儀式に必要な量を溜める必要がある。本来ならそのインターバルに60年は要するところを、第四次聖杯戦争において呼び出された聖杯が使われなかったために今回は時期が早まった。
第三次聖杯戦争において、勝利に固執するあまりルールを破って召喚された「復讐者(アヴェンジャー)」のサーヴァント、「この世全ての悪(アンリ・マユ)」(の名を着せられた無名の青年)が敗れた後に大聖杯の中に留まってしまったことで、溜め込む「無色の力」は汚染されて『人を殺す』という方向性を持った呪いの魔力の渦となってしまい、それ以降、冬木の聖杯は人を貶める形でしか願いを叶えられない欠陥品になってしまっている(大金を願えば、金持ちを殺しつくしその富を奪う、等のように)。

マスター

聖杯戦争に参加する者。マスター候補者は聖杯が選別する。聖杯の助けでサーヴァントを召喚し、契約することでその資格を得る。サーヴァント召喚は魔術回路が無ければできないが、召喚者と契約者が必ずしも同じとは限らないので、魔術師ではないマスターが存在してもおかしくはない。マスターにはサーヴァントを支配・制御するための刻印である三つの令呪が与えられるが、その模様・刻印される場所は人それぞれ違う(基本的には腕の何処かに現れるらしい)。

サーヴァント

聖杯の助けによりマスターに召喚された、未来も含む全時系列のどこかに存在した英雄の霊、英霊[3]。冬木の聖杯戦争においては、一度の聖杯戦争につきあらかじめ通常7つの器(クラス)セイバー(剣士)アーチャー(弓兵)ランサー(槍兵)ライダー(騎兵)キャスター(魔術師)バーサーカー(狂戦士)アサシン(暗殺者)が用意されており、そのクラスに該当する属性を持った英霊が召喚され、それぞれのクラスの役割に一騎ずつ憑依して実体化する(ただし本作品ではそれ以上が登場する。また第3次聖杯戦争のアヴェンジャー(復讐者)のように、上記7クラス以外の英霊が召喚されたこともある)。
彼らは使役する立場であるマスターより遙かに強力な存在であり(そもそも人間が敵うような相手ではない)、人々の間で知られた名声の高さに応じ、英雄としての能力をふるうことができる。特に生前の彼らの活躍に華を添える必殺の武器(あるいは彼らの固有の能力・特徴の象徴であることも)「宝具」の「真名開放」(宝具の真名を口にすることで秘められた真の力を発現させること)による攻撃は、格上の存在である精霊・神霊や幻想種最強の竜種をすらあるいは倒すことも可能とされる。ただし、名を知られるということは同時に弱点を晒すということに繋がるため、聖杯戦争の際は敵に対してはその真名、並びに真名の特定に繋がる宝具の名をできるかぎり隠す(そのため、クラス名で呼ばれるのが普通)。サーヴァントとして現界するための魔力をマスターに依存しており、基本的にはそれが断たれると消滅してしまう。ただし、少しの間なら自力での現界も可能。単独行動のスキルを持つサーヴァントなら供給がなくとも1~2日間ほど現界が可能であり、このスキルのランクが高い者ならば、マスターからの魔力供給を全て断たれても当分の間は一切問題なく行動できる。
なお彼らの本質は霊体であるため、たとえ実体化していても物理的手段による通常攻撃は効果がない。魔力供給を断たれると霊体に戻り、マナの薄い無機物を通り抜けることができる。その状態でもマスターと意思を通わせることが可能。霊体のままだと通常干渉を受け付けないが、現実への干渉力が落ちる。
召還されたサーヴァントは敗北した後『力の一端』に戻って時間軸から消え去るのだが、それを押し留めて一時的に器に蓄え、器に力が満ちてから、英霊が“座”に戻る力を利用して一気に「根源の渦」[4]への穴を穿つというのが冬木の聖杯戦争に隠された儀式の真の姿である。
  1. Type-Moon作品の多くが共有する世界観において、魔術によって引き起こされる現象は科学技術などの他の方法を用いても再現しうるのに対し、魔法とは本物の奇跡を実現する神秘であり、第一から第五まで五つが存在している。それを扱える魔法使いは世界に現在四人しか存在していない。
  2. 魔術師などが体内に持つ、魔力を精製するための疑似神経のことをいう。
  3. 神話や伝説・歴史において偉大な功績をあげ、死後もなお人々からの信仰の対象とされる英雄の霊格が、精霊の域にまで昇華され、輪廻の輪からも因果の枠からも外れて不変の現象となった存在。
  4. 世界の外側にあるとされる領域で、「あらゆる事象の発端」「万物の始まりにして終焉」。すべての魔術師にとっての最終到達目標である。