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{{文学}} '''鋼の大地'''(はがねのだいち)は、[[奈須きのこ]]の[[小説]]。『Notes.』のみが発表されている。 作者によると、ジャンルはエセ[[サイエンス・フィクション|SF]]。[[月姫 (ゲーム)|月姫]]・[[Fate/stay night]]の未来の世界で、世界観を同一にする。ただし人類はほぼ絶滅しているので、世界観を同一にしながら、全く内容を異にする。例えば両作品ではあたりまえに存在する「魔術」は、ここでは失われている。 == 概要 == [[人類]]は[[地球]]の[[資源]]を使いきり、母なる大地は臨終し、[[生物]]は住めなくなった。それでも人類の[[文明]][[技術]]は、星の死亡によっても、人類を生き続けることを可能にした。人類は卓越した技術を使い、滅亡する前の地球に生きていた生物をモチーフに亜麗百種とよばれる新たな[[霊長類]]をつくりだした。 ところが亜麗百種が人類に反旗をひるがえし、世界の覇権を巡る大戦が始まる。六人姉妹率いる亜麗百種の前に成す術のない人類は次第に追いつめられていく。追いつめられた人類は、人間種(新人類。人間自体が[[進化]]したもので元の人間とは似て非なるもの)と騎士を生み出した。大戦は新人類・騎士VS亜麗百種の新たな形に発展していく。その甲斐あって、六人姉妹の末妹は騎士によって倒された。 ある日、[[アリストテレス]]なる[[太陽系]]8惑星([[冥王星]]を含む)の最強種が、地球上のすべての生命体を絶滅させにやってくる。圧倒的な力を持つ最強種の攻撃にさらされ、地球の生命体は大戦を止め、アリストテレスへの戦いへと突入していく。 {{ネタバレ}} == 設定 == === 世界 === ;鋼の大地 :星の命が死んだ世界。『over count 1999.』とも書かれる。これは、二千年目に人類が滅びる予言があったともされており、[[ノストラダムスの大予言]]に由来する。(『鋼の大地』の初出は[[1999年]]) === 人類 === ;人間 :「月姫」「Fate/stay night」時代の霊長種で、一般にいわれる[[人類]]のこと。地球はジンとよばれる物質に覆われているが、人間にとってジンは有害であるため、だんだんと数を減らしていく。そこに亜麗百種との大戦、アリストテレス来襲により拍車がかかり、「Note.」で人類は最後の一人になる。 ;人間種 :新人類。人間(旧人類)が進化した人類のこと。旧人類にとって有害なジンが充満する世界でも生きられる。それ以外の能力は、旧人類と変わらないが、やはり旧人類とは異なっており、厳密には亜麗百種に分類される。国家を形成するなど、旧人類と似た面をもつ。 ;騎士 :人間種(新人類)の誕生時、多量のジンを体内にもって生まれたものは、体外にもう一つの器官をもち、成人するとジンを物質化する。その物質化されたものを「魔剣」と呼ぶ。その魔剣が亜麗百種との戦いにたえうるほどに強力なもののみを、騎士という。「Note.」では78人登録されている。 :戦闘能力は亜麗百種20位「天使」と同格とされるため、一般的な騎士の戦闘能力は、アリストテレスや六人姉妹よりは落ちると思われる。 === 亜麗百種 === 旧人類が産み出した、新しい霊長類。大きく分類して百種になる。種に多数の個体が存在するのが原則だが、一~十までの数字をもつものは単一種である。亜麗百種にとって、恋愛とはより強い種を生むためにすること(例外あり)。 ;六人姉妹 :亜麗百種で最初の位「1」を持つ。六人姉妹の名のとおり、六人で構成されるが、単一種とされる。外見は魔女の風貌で、六人すべてが箒と黒帽子の格好。アリストテレス来襲までに、末妹"審判"のみ倒される。六人全員が本当の魔法使いであったという。 :アリストテレス来襲後は、新人類・騎士と停戦をし、アリストテレスを倒すことに全力を尽くす。タイプ・プルートと相打ちになり、「Note.」の時点での行方は知られていない。アリストテレスの侵入を防ぐために、六人姉妹がつくったと思われる防御膜のお陰で、二体のアリストテレスの侵入を防いでいる。 :死徒二十七祖2位のthe dark sixと設定がかみ合うので六人姉妹ではないかという説もあるが、不明。 ;天使 :亜麗百種20位。その外見は[[天使]]そのもの。しかし、その外見とは似合わず、破壊に長けた種族である。飛行能力はあるが、翼の有無に左右されない。両翼はジンを収束させるためのもので、攻撃する手段である。その戦闘能力は、かつて六人姉妹の守護役だったほどで、一体で核ミサイル並。 ===アリストテレス=== 地球に突如現れ、無差別攻撃を繰り返す、8体の怪物。その正体は、[[太陽系]]の8惑星から派遣された、各星の最強種であった。天体それぞれの最強種であることから、'''アルテミット・ワン'''(究極の一)とも呼ばれる。各アリストテレスを呼称するときは、'''タイプ・○○○○'''(○○には生息する天体名。例:タイプ・マアキュリー)。 ただし、物語上の登場人物には未だ、惑星から派遣された最強種ということは知られていないので、物語中ではアリストテレスの呼称のみが通用する。呼称の由来は、古代ギリシアの[[哲学]]者[[アリストテレス]]から。 「月姫」「Fate/stay night」などのTYPE-MOON作品では、星は意思をもつ生命体とされる。地球(ガイア)が月の王を見本にして地球の王を作ろうとしたところから、[[ダーウィニズム]]的進化論における[[自然淘汰]]によって誕生するものではなく、星の自発的意思で生み出されるもののようだ。 アリストテレスそれぞれが一体で星の全生命体を絶滅させる力をもつ。アリストテレスは星の代弁者のため、自己意思がない。後天的に知的生命体との接触によって、知能を得るアリストテレスもいた。外見は人型・十字架型・蜘蛛型など、形態はガス状・鉱物・植物など多岐に渡る。 地球に来襲したのは、母たる星が死しても生き残る人類に畏怖を覚え、地球が地上の生命体を絶滅させて欲しいという信号を送ったため。 ;アリストテレス一覧 *タイプ・マアキュリー :[[水星]]のアルテミット・ワン。 :ORTと呼ばれる。西暦以前に南米に落ちてきて生息。なんらかの突然変異種とも言われるが、実際どうなのか不明。、[[死徒二十七祖]]5位の吸血鬼がORTを捕まえようとして倒され、ORTが吸血種だったことから死徒5位の称号を受け継いでいる。外見は蜘蛛で、特殊能力「水晶渓谷」をもつ。「月姫」の時点では、単純な戦闘力では最強。タイプ・マアキュリーと呼ばれているが、地球からの信号を受け取る最強種ではなかった。よって「Note.」のタイプ・マアキュリーと同一かは不明。 :「[[月姫]]」の[[死徒]]27祖という設定を決めた際、具体的なメンバーは半分も決まっておらず、遊び心として「鋼の大地」のタイプ・マアキュリーが死徒二十七祖祖のひとりとして選ばれた。 *タイプ・ヴィーナス :[[金星]]のアルテミット・ワン。2枚の翼を持つ天使のような姿をしたアリストテレス。巨大な動食植物で、本来は大地に根を張って羽を振り撒くはずだった。撒かれた羽は天使のような姿をしていて生き物を喰らう。新歴83年にブラック・バレルによって撃墜。身動きできなくなった体の上には植物が育成可能なことから、やがて人々が集まり街ができた。そのため天の亡骸と呼ばれる。体は動かせないものの精神は生きていて、天使となった。 *タイプ・マーズ :[[火星]]のアルテミット・ワン。詳細不明。 *タイプ・ジュピター :[[木星]]のアルテミット・ワン。外見は黒い巨人。人々からは黒いアリストテレスと呼ばれている。形態は光子ガスの塊で、中心核に擬似太陽を持つ。もっとも地球上生命体を抹殺したアリストテレス。騎士アド・エデムの斬撃皇帝により消滅させられるも、その最期に擬似太陽を暴走させて西の大陸のすべてを焼き尽くした。 *タイプ・サターン :[[土星]]のアルテミット・ワン。十字架のような姿のアリストテレスで、十字架、空中要塞などと呼ばれる。空中に浮かぶアリストテレスのリーダー格。各星からの命令を受信し、各アリストテレスに伝える役目を担っていた。地上を攻撃する際は、十字型の雨を降らす。銃神も参加した軍部の作戦により撃墜される。惑星の意思の伝令役だったタイプ・サターンの消滅により、地球上生命体とアリストテレスの戦いは最終決戦に入る。 *タイプ・ウラヌス :[[天王星]]のアルテミット・ワン。詳細不明。 *タイプ・ネプチューン :[[海王星]]のアルテミット・ワン。詳細不明。 *タイプ・プルート :[[冥王星]]のアルテミット・ワン。[[2006年]]8月に冥王星は惑星から外されたが、「Note.」発表は[[1999年]]5月のため、「八体の惑星」のアリストテレスに含まれている。 :六人姉妹によって迎撃され、その血液が空を覆っているため、空が赤くなっている。赤い空を覆い隠す灰色の雲は六人姉妹が作った防御膜であり、地上への進入を阻まれたアリストテレス2体が、この血液の中を泳いでいる。 *タイプ・ムーン :[[月]]のアルテミット・ワン。「鋼の大地」では人類最大の敵として登場する隠しキャラだと『月姫読本 PlusPeriod』で語られている。またメロンブックスのサークル紹介第50回のインタビューで、魔剣リアル・オブ・ザ・ワールド(真世界)を持っていて、「鋼の大地」の最後に正体を明かすアリストテレスだと奈須きのこが答えている。 :死徒二十七祖3位「朱い月のブリュンスタッド」に、アルテミット・ワンがつけられていることから、彼のことと思われる。「月姫」時点で朱い月は消滅して空位になっている。「鋼の大地」で蘇るのかどうかは不明。他のアリストテレスと違い自己意思を持つようで、何もなくなった月に変わって地球を自分の領域にしようと企んでいた。 :サークル[[TYPE-MOON]]の名前は、「鋼の大地」の「タイプ・ムーン」から名付けられた。 ;アリストテレス以外のアルテミット・ワン *タイプ・ガイア(タイプ・アース) :[[地球]]のアルテミット・ワン。地球を表現する際には、アースではなくガイアと表現するため、タイプ・ガイアが正しいと思われる(「ガイア」という言葉の元については[[ガイア理論]]を参照)。月の王を手本に地球の王をつくろうとしたが失敗して、真祖が生まれたことから、すくなくとも朱い月が地上に降り立ったときにはタイプ・ガイアはいなかった。(アニメ真月譚月姫の特典の絵本より) :ガイアの怪物(死徒二十七祖1位プライミッツ・マーダー)をタイプ・ガイアとする説もあるが、公式発表はなく詳細不明。 *タイプ・アザー :「Notes.」の序章「0/GODO」の「angel notes.」に書かれている。 :唯一の旧人類である銃神を指すのではないかと言われている。 {{ネタバレ終了}} == 作品 == === Notes. === 天使を題材にした[[同人誌]]『angel voice』(1999年5月、竹箒)のために書かれた[[短編]]小説。同人誌『月姫読本』(通称・青本)(2001年、[[TYPE-MOON]])に再録された。アリストテレスとの戦いに既に入っており、アリストテレス8体のうち3体が倒されているため、『鋼の大地』の中でも後の方に位置すると思われる。最後の人間(新人類でない)銃神と天使の触れ合いおよびアリストテレスとの戦いを描く。「angel notes.」と題した用語説明が章ごとに挿入されている。 {{ネタバレ}} *概要 :銃神は天使狩りを[[仕事]]にしている。銃神が天使狩りを終えて、帰宅すると[[ギター]]をもった天使がいた。ゴドーの前に現れたのは、銃神に殺されたからという。こうして天使狩りを生業としながら、天使とともに暮らすゴドーの生活が始まる。 *登場人物 ;銃神(ゴドー) :最後の旧人類。最強の銃ブラック・バレルを掘り起こし、アリストテレス殲滅を目的に動いている。普段は天使狩りを行い、生計を立てている。旧人類のため、息をしているだけでジンに身体を蝕まれ、命を日々削られている。ブラック・バレルにより、5年前にアリストテレス一体(タイプ・ヴィーナス)を撃墜した。この撃墜は『鳥堕し』と呼ばれ、それを成したことから「銃神」という俗称で呼ばれる。また皮肉をこめて「GODO」(神もどき)とも呼ばれる。 :ブラック・バレルはジンを含む生物に対して強大な殺傷能力を持ち、そのため少量でもジンを含む生命体は銃に触れることさえできない。アリストテレスを含め、地上に現存するほとんどの生物がジンを含んでいるため、地上のほとんどの生物にとって脅威である。旧人類は進化から取り残され、ジンを毒物としか受け付けないため、ブラック・バレルを扱うことができる数少ない種族である。 :十字架(タイプ・サターン)との戦いで、亜麗の天使をかばって傷を負って死亡。 ;天使 :銃神に殺されたという天使。天使の姿をしているが亜麗の天使ではない。銃神と同居する。その正体はタイプ・ヴィーナスであった。撃墜されても生きており、自分の体の上に街をつくった人々の知性を参考にして、人々のイメージの中から自分に近い姿を持つ天使として具現化した。元々は自由意志がなく意思疎通さえ不可能な人類を殲滅を目的とする存在だったが、人々が抱く幻想の存在となったことで人類とも意思疎通が可能になり人々とその街を愛するようになった。既に本体を動かすことも可能になっているが、それをすると羽がいっきに何億も撒かれてしまうため、動こうとはしない。 {{ネタバレ終了}} [[Category:TYPE-MOON|はかねのたいち]] [[Category:ライトノベル|はかねのたいち]] [[Category:日本の小説|はかねのたいち]]
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