明貴美加
明貴美加(あきたか みか)は日本のイラストレーター・ゲームクリエイター。男性。 かつて現役女子高生メカデザイナーを名乗り、全国の模型少年達に夢を与えた存在。連載をしていた模型雑誌モデルグラフィックス編集部へ詐称していた誕生日に読者からケーキがプレゼントとして届けられたという逸話が著作で紹介されている。
目錄
概要
高校時代に伸童舎に所属し、サンライズのメカデザイナーとして『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』『シティハンター』『機動戦士ガンダム0083』等に関わった。 元々イラストレーター・モデラーだった縁もあり、模型雑誌モデルグラフィックスでガンダムに登場するメカをモチーフにした「MS少女」のイラストを手がける。これがブレイクし、その後の仕事の方向性に大きな影響を与えた。その後レッドカンパニー(現レッド・エンタテインメント)に移籍し『銀河お嬢様伝説ユナ』というギャルゲーの企画で長期にわたるシリーズ展開を手がけ、ゲーム・アニメ・CD・ラジオ出演とすべてのイラストの仕事を本人1人で手がけた。版権に対して非常に厳格な性格をしており、ネットに作品のファンアートが少ないのは本人が直接規制したためである。ユナシリーズの終了後は漫画原作なども行っていた。それ以降はレッド・エンタテインメントで『サクラ大戦シリーズ』のメカニックデザイナーを手がけている。業界ではカトキハジメや麻宮騎亜とも交友が深い。
人物略歴
女子高生メカデザイナーを名乗り、モデルグラフィックス誌上のコーナーで長期に渡り演じ続け、なかよし誌上では「トロが大好き美加ちゃん」と紹介文を、ラジオ番組ではお嬢様作家を名乗っていたが超低音ボイスを突っ込まれ第一回放送で早々とオカマをやめた。本人は至って普通の成人男性で、ちゃんと男性に相応しい格好のやせ細った容姿を晒しているため、オカマのキャラクター作りは完全なネタである。MS少女に関しては出渕裕から「こんな仕事をしていると後悔するぞ」と、ガンダムの原作者の富野由悠季からは「恥ずかしいからやめろ!」と散々な言われ様だったが、後のブレイクを考えるとキャリアにはプラスになったようである。会社の自室は膨大な各種ゲーム機とゲームソフトで埋め尽くされた濃い「オタク部屋」で(職業柄、研究だったという説も否定できないが)、プライベートでは藤島康介のために美少女フィギュアの製作代行もしていた。熱狂的なソニー愛好家らしく、自身がデザインしたミルキー(こちらが先)と後発のトロが酷似していたためか非常に気に入り、イラストにはよくトロ(ミルキー)似のキャラクターを付ける事がある。
デザインの方向性
少女
少女漫画のような大きな瞳が特徴として一貫している。しかし露出の多いセクシーなイラストには純粋なキャラクターとしての可愛さもあり、銀河お嬢様伝説ユナは女性からも人気があった。元々CGを利用した絵を書く特徴があったので現在も画風が風化する事なく、一定の評価を得続けている。
メカニック
曲線やシルエットで見せるデザインを得意とし、リアリティや重厚なメカニック要素は薄味のアニメデザイナーである。雑誌では幾何学模様を使ったデザインを多用する。なお本人が好きなSF映画は『スタートレック』よりも『宇宙空母ギャラクティカ』との事。
機動戦士ガンダムZZにまつわるエピソード
メジャーデビュー作となったテレビアニメ『機動戦士ガンダムZZ』では、主役機ZZガンダムのデザインコンペに大きく関わっている。コアガンダムと呼ばれる小型のロボットに2機の戦闘機が合体するアイデアを発表し、3機の合体変形案が採用された。その後も数多くのZZガンダム候補をデザインしたが、最終的には小林誠がデザインした形態をベースに仕上げる事になる。コアファイター部分は完全な明貴デザインで完成形では脚部に明貴のデザインの面影が残っている。最終的な決定稿は北爪宏幸が仕上げたが、戦闘機形態はすべて明貴のクリンナップである。その際、戦闘機モードの一部に機首が存在しない事を小林に指摘され、3日で機首となる「メガビームライフル」を仕上げた。コクピットのレイアウトは明貴担当で、遊びで書いた合体レバーが富野監督にウケた事を喜んでいた。
他にもドーベンウルフは元々ガンダムMk-V用のデザイン案だったが、ガンダムが劇中に多過ぎるという理由でネオジオンのモビルスーツに設定が変更された。その際、同じく元はガンダムとしてデザインされていた、クィン・マンサと頭部デザインが入れ替えられている。後にモデルグラフィックスのガンダムセンチネルにガンダムMk-Vが採用され、ドーベンウルフはガンダムMk-Vの改良型という設定に改変されバンダイの公式設定となった。ガンダムMK-Vは当初は背面図画がなかったが、モデラーの采配でデザインした物を後に取り入れた。
劇中に登場するモビルスーツのデザインには富野監督の意向も大きく関わっていた。ゲーマルクの配色がオレンジに青という凄まじいセンスなのは「キャラ・スーンの機体ならこうあるべきだ」という富野監督の希望であり、明貴は自分の責任ではないと弁解していた。本人は『機動戦士Zガンダム』のジ・オのような機体をイメージしてデザインと発言。ザクIIIに関しても、灰色という配色や地味さを憂い、「マシュマーの色なら緑ですよね!」とザクらしい色にしたいと監督に強く嘆願した逸話がある。また、最終回という事で明貴はZZガンダムの強化と怪獣的なクィン・マンサのデザインをプレゼンしたが、後者の発想に「最終回だからって何してもいいとか考えるな」と激怒した富野監督に駄目だしを受け共同で仕上げた。
模型にまつわるエピソード
モデラーだった事もあり模型の設計畑でも活躍している。タカラ『デュアルマガジン』誌で初心者向けのプラモ作成方コーナーを担当した後、商業製品では『機動戦士Zガンダム』のプラモ用三面図と『トランスフォーマー』の玩具でデビューした。他にもバンダイのハイコンプリートモデルの設計やプラモデルのインストラクションにも参加(現在で言うカトキハジメのポジション)。そんな縁で『ガンダムセンチネル』にも大きく関わる事になるが、スピンアウト企画であるMS少女がブレイクして、Zプラスをベースにした「椎名」がガレージキット化までされてしまうという珍事にもなった(当然明貴がインストラクションを担当)。その後も海洋堂と積極的にガレージキットの開発に協力。当時の日本としては珍しい塗装済みのブリスターパック販売トレーディングフィギュアや完成品アクション美少女フィギュアに着目し先駆けた(決して元祖やブームの仕掛け人というわけではない)。自身の製作した模型が発表される事はないが、人気モデラーとタイアップしオリジナル企画の模型を発表する事は現在も続けている。特にみすまる☆ましいは明貴デザインを好んで立体化する事が多く、卓越した造形力から傑作を数多く残した。
余談だが、アマチュア時代にガンプラの1/20フィギュアシリーズにラインナップされたフラウ・ボゥを改造して『六神合体ゴッドマーズ』の人気キャラクター・ロゼのフィギュアを制作している。これはラポート発行のムック・六神合体ゴッドマーズ大辞典に掲載された。
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYにまつわるエピソード
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYに登場するガーベラテトラは元々はガンダム試作4号機のデザイン案だったが、これも劇中にガンダムが多く出過ぎるという理由で採用されなかった。作品内ではガンダム試作4号機がデラーズフリートに譲渡する際に偽装されたという設定に変更され、ガンダム試作4号機は後にホビージャパンでアンオフィシャルに発表された。その後電撃Bマガジンに「ガーベラテトラ改」として決定稿を更にボリュームアップしたようなバリエーションを発表(このイラストは後に「殺・凶」のマーキングが取り払われゲームソフト『ギレンの野望シリーズ』に登場し初めて名前が明かされた)、合計3種のガーベラが掲載された。後にカトキハジメがこの3つのパターンのガーベラの最大公約数的なアレンジを発表。現在ではこのカトキ版が最も有名になっている。明貴によるとガーベラテトラとはGP-02を開発したスタッフが意趣返しに設計した物で、リック・ディアスに繋がる重MSの設計思想だという。逆に素のGP-04は明らかにガンダムMk-2に繋がるデザインであり、Mk-2設計者である連邦軍のフランクリン・ビダンは後にエゥーゴに協力したアナハイムスタッフに関係があったか、その後の悪癖同様にGP計画を盗んだのかという疑問が沸いてしまう。余談だが、GP-04は飛行モードに変形する構想があった。
機動戦艦ナデシコにまつわるエピソード
主役機であるエステバリスは初期の明貴案では「エグザバイト」という仮称だった。また主役艦であるナデシコの名前もヤマトユニットとの合体で「ヤマトナデシコ」という形態になる構想だったが、お蔵入りしコミック版で採用されている。元々大月俊倫が新世紀エヴァンゲリオンとセットで暖めていた企画だったため、プラモ化を前提としたデザインには大きな制約があった。そのためコミック版では早期にエステバリスはロートル化し、エグザバイトというディテールの細かい新型機が登場した。劇場版については中原れいによるデザインで明貴はブラックサレナのデザインを担当した。
おもな作品
ラジオ出演
- 銀河お嬢様電波ユナラジオ(レギュラーパーソナリティ)
- リスナーから高い人気を誇り、時間帯が日曜25:30~金曜25:00~土曜22:30と徐々に優遇され、全3巻の総集編CD化を遂げた。ハドソンの新作ゲーム『北へ』にバトンタッチする事で長期のシリーズに幕を下ろした。
原作
- 銀河お嬢様伝説ユナ(ゲーム・アニメ・CD・ラジオ・小説)
- キャラクターデザイン・メカデザイン・ゲームデザイン・原作・ボイス出演
- ぜんまいじかけのティナ(漫画・ネット企画) 原作・キャラクター原案
- シールドガールズ(小説) 原作・イラスト
デザイン参加
- クルーズチェイサーブラスティー(ゲーム) メカデザイン
- 機動戦士Zガンダム サブメカニック・プラモデル用メカニック三面図担当
- 機動戦士ガンダムZZ メカデザイン
- クリンナップ
- ガザD シュツルムディアス(原案永野護) コアトップ・コアベース・Gフォートレス(原案小林誠) Rジャジャ ガ・ゾウム(原案出渕裕)ザクマリナー デザートザク ドワッジ(原案あさのまさひこ)
- デザイン
- 強化型ZZガンダム フルアーマーZZガンダム ネオコアファイター クインマンサ(富野由悠季共同) ゲーマルク ザクIII改 ドーベンウルフ ジャムルフィン 各種サブメカニック全般
- プラモデルインストラクションイラスト
- Gフォートレス強化型 ジャムルフィンビッグブースター ガ・ゾウムガンナータイプ
- ミッションZZ(書籍)
- クリンナップ
- イグレイ イプシロン ハーピュレイ
- デザイン
- コアブースター
- ガンダム・センチネル(雑誌連載・書籍)
- クリンナップ
- ガザC(原案小林誠)
- デザイン
- ガンダムMK-V しいな(MS少女) ガンダムMK-V改?(サイバーコミック発表)
- シティーハンター メカデザイン
- ファイブスター物語(劇場版)メカデザイン
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャアMSV
- リ・ガズィカスタム スタークジェガン 重装型ギラドーガ
- 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争 サブメカニックデザイン
- 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY メカデザイン
- ドラッツェ ゲルググマリーネ ゲルググマリーネ・シーマ専用機 ヴァルヴァロ ノイエジール ガーベラテトラ ガーベラテトラ改 ガンダムGP04ガーベラ
- TVアニメ版
- エステバリス陸戦フレーム・0G戦フレーム・空戦フレーム・重戦フレーム・月面フレーム・トレーラーフレーム エクスバリス ナデシコ
- コミック版
- アスカエステバリス(モデルグラフィックス発表) エグザバイト ガヴァメントエステバリス キュッパチ ヤマトナデシコ
- 劇場版
- ブラックサレナ
- サクラ大戦4 ~恋せよ乙女~(ゲーム) メカデザイン
- サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~(ゲーム) メカデザイン
- カオスウォーズ(ゲーム) ゲストキャラデザイン
- マコ
- 銀河婦警伝説サファイア(ゲーム) キャラクターデザイン
- パルコミュージアム渋谷アニメ祭り2006(イベント) イメージキャラクターデザイン
イラスト提供
- 月刊OUT(雑誌)
- デュアルマガジン(雑誌)
- 超音速のMS少女(連載時タイトルは「帰ってきたMS少女」等) (雑誌連載・書籍)
- SDガンダム(CDインストラクション)
- 甲竜伝説ヴィルガスト
- サイバーコミック(アンソロジーコミック表紙)
- お嬢様通信(雑誌連載・書籍)
- GUNDAM FIXギャルーション(雑誌連載)
- MEGU(雑誌連載)
- 電撃PCエンジン→Gsエンジン→Gsマガジン(雑誌連載)
- Let`sナデシコ(アンソロジーコミック)
- サクラ大戦 蒸気工廠(ムック)
- サクラ大戦V 蒸気工廠USA(ムック)
インディーズ活動
- ホワイトリング(フィギュア) キャラクターデザイン
- アグレッシブガール(フィギュア) キャラクターデザイン
- MS少女で明貴美加のファンだった原型師みすまる☆ましいとのコラボレーション。
- 硬質少女有限公司(フィギュア+同人誌) 原作・キャラクターデザイン
- 同人誌と美少女フィギュアをセットにしたオリジナル企画。
- HMX M.A・Collection(同人誌) 未発表イラスト集
- To Heart中心の画集。